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ブックデザイナー 佐藤亜沙美さん特別レビュー! 〜Morisawa Fontsで制作環境はどう変わるのか〜

モリサワは、2022年10月4日にクラウド型の新しいサブスクリプションサービスMorisawa Fontsをリリースしました。フォント管理や契約手続きがオンラインで完結できるだけでなく同一アカウントでパソコン2台まで利用可能になるなど、ユーザーの利便性を高めるさまざまな機能が搭載されています。本記事では、ブックデザイナーの佐藤亜沙美さんに、新サービスを使った感想などを伺いました。

■お話を聞いた人
佐藤 亜沙美さとうあさみさん
ブックデザイナー。1982年生まれ。2006年から2014年までブックデザイナー祖父江慎さんの事務所・コズフィッシュに在籍。2014年に独立し、サトウサンカイを設立。『Quick Japan』のアートディレクターを経て、2019年より『文藝』のアートディレクターを務める。最近の担当作に「2022年大河ドラマ 鎌倉殿の13人」のタイトルデザインなどがある。

Webサイト上で、プラン購入からフォントの試し書きまで

ークラウド型の新しいサブスクリプションサービス「Morisawa Fonts」を佐藤亜沙美さんに体験していただきたいと思います。新サービスの特徴の1つは “Webサイト上で手続きが完了する点” です。

「Morisawa Fonts」サービスサイトのTOP

佐藤 画面上で購入するプランと購入数を選んで、アカウント登録を行い、購入画面で支払い方法を選択するんですね。購入後にログインしてすぐにサービスが利用できるのは、簡単で嬉しいです。
用意されている2種類のプランのうち、“スタンダードプラン” は1,500書体以上のライブラリーが利用できると……なるほど、改めていろいろなフォントの組み合わせなども試してみたくなります!

フォントの検索もなじみのある分類で、これまで通りに絞り込めます。検索したフォントの詳細情報も掲載されていて、画面上でフォントの試し書きができるのも便利ですね。

サービスサイト上の「フォントを探す」

MORISAWA PASSPORTからの移行も簡単!

ー「Morisawa Fonts」を利用する場合は、PC上の専用アプリ「Desktop Manager」が必要になります。Webサイト上でフォントをアクティベートするとDesktop Managerと同期され、フォントのインストールが完了する、という仕組みです。

Desktop Managerでの表示例

佐藤 すごーい!どうしてこんな簡単なんですか。本当にすごいです。じゃあ、職場でアクティブにしたフォントが、家に帰ってPCを立ち上げると同期されて……。いちいち自分で環境を揃えなくていいんですね!!この仕組みを作った担当の方々に感謝です。

佐藤 フォントの移行ツールが用意されているのも便利ですね。「MORISAWA PASSPORT」のフォント環境をコレクションファイルに書き出すだけで、「Morisawa Fonts」でもすぐに利用できるのは助かります。「あれも、これもやらなくちゃ」という手間が省けると、フォント移行のハードルも下がりますし。

プロジェクト単位で利用するフォントをグループ化する「フォントコレクション機能」が搭載されているのですね。複数のプロジェクトが同時進行しているようなケースでも、進行管理がスムーズになるなと思いました。

アクティベート画面の「♡」を押してコレクションを選択
後から各コレクションを編集することも可能

佐藤 あ、あとは収録されているフォントを使用して制作したロゴなどの商標登録(※)が可能になる、というのもネットで沸いていましたね。フォントの権利そのものが守られた上で、制作した方のデザインや意匠も登録できることは、歓迎すべき変更です。

※ 商標登録の詳細は、エンドユーザーライセンス契約をご確認ください。
https://policies.morisawafonts.com/eula/fonts/desktop/

更新手続きやライセンス管理もWebサイト上でスムーズに

ー「Morisawa Fonts」では、契約更新についても見直しを行いました。クレジットカードで決済する場合 “自動で契約更新” されるようになっています。

ショッピングカートの例

佐藤 お!そうなんですね!「MORISAWA PASSPORT」では、専用ページに年1回アクセスをして契約の更新手続きを行う形でしたよね。毎年、契約更新に関するメッセージがメールで届き、「そうだ、そうだ。更新しなければ」と、少しおっくうに感じていました(笑)。自動更新も可能になると何気にストレスが減るなと思います。

佐藤さん私物の、製品パッケージ版「MORISAWA PASSPORT」

佐藤 クラウドになることで、ライセンス管理も手軽になりますよね。私がコズフィッシュで働いていた時は、社内に大事なものを保管する棚があって、「MORISAWA PASSPORT」は当時ライセンスが箱に入って届いたので “あ” とか “さ” とか名前の頭文字とかを書いて、誰のものかわかるようにして各人が管理していました。新人デザイナーとして初めて自分用の箱をもらったときは、感無量でしたね。

でも、この箱を無くすと仕事にならず “地獄の捜索活動“ に……(笑)。昔は、IDやパスワードを無くした時の再発行手続きなど、アナログの作業が少なくありませんでした。当時のストレスフルな時間も懐かしいですが、「Morisawa Fonts」のクラウド機能によってさまざまな利便性が高まると、より制作に専念できると思います。

ユーザー単位のライセンスで、複数デバイスでの利用が可能

ー「MORISAWA PASSPORT」に関するご要望の中でも、複数台利用については多くいただいたご意見でした。「Morisawa Fonts」は “ユーザー単位” の新ライセンス契約を採用し、“1つのライセンスにつきPCを2台まで利用できる” ようになります(※同時起動不可)。

佐藤 SNSなどでは、新サービスで2台使いが可能になることについて、多くの方が喜んでいらっしゃいましたね。私も事務所と自宅で1台ずつPCを使っています。友人のデザイナーも2台使いです。複数台利用のメリットを感じるユーザーは多いと思います。

実際のサービス画面を操作する佐藤さん

佐藤 フォントを選ぶ上で価格は大事なファクターですが、私はそれ以上に「互換性」を重視しています。雑誌や書籍の制作は、監修者や版元、DTP、印刷所など多くの方々が携わります。
先方が持っていない書体だと、アウトライン化して確認をとって修正するときはフォントに戻して……と手間がかかり、これが想像以上にストレスになるんです。そのため、修正がタフに入るようなお仕事では、使用するフォントをモリサワのベーシックなものにして環境面を揃えたこともありました。

2022年は新たなデザイン書体がたくさん利用できるようになり制作の幅が広がることに加え、互換性の向上による入稿作業の煩雑さ解消にもつながると期待しています。
制作において、モリサワのフォントは、必要経費というか、作業効率を考えると欠くことのできない存在です。この点は、コストに勝るものだと思います。

ー大変うれしいお言葉ありがとうございます!皆さまの利便性が向上する仕組みを、どんどん追加していく予定です。

佐藤 「Morisawa Fonts」は、とことん進化させることができる、モリサワの皆さんにとってもやりがいのあるプロジェクトですね。さっそく、仕事で利用したいと思います!

あとがき

佐藤さんにいち早くMorisawa Fontsを試していただき、生のお声をお聞きしたことで、よりよいサービスにしていかなければ、と気が引き締まる思いでした。
サービスのローンチ記念として、MORISAWA PASSPORTからの移行特典や、そのほか今だけの特別価格でご提供中ですので、この機会に是非ご検討ください。

今後も、システムのアップデートだけではなく、フォントそのものについても引き続き皆さまによいものをお届けできるよう、鋭意開発を進めてまいります。引き続きnoteでは開発経緯などのフォントにまつわる情報を中心にお届けしていきますので、どうぞよろしくお願いいたします!(担当:M)

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