【インタビュー】今活発なオンライン学習の現場で、Webフォントに求められる役割
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【インタビュー】今活発なオンライン学習の現場で、Webフォントに求められる役割

私たちの生活においてインターネットの活用はこれまで以上に欠かせないものになりました。中でも、著しい変化を遂げているのが教育現場です。
休校などで「学びのオンライン化」が急速に進んだ今、小・中学生の教育を支援するデジタル学習支援サービス「ラインズeライブラリアドバンス」を提供するラインズ株式会社のお二人に、オンライン学習が子どもや学校に与えるメリット、TypeSquareのWebフォントを用いた工夫、コンテンツ制作への想いなどをお伺いしました。
※TypeSquareの詳細についてはこちらをご覧ください。


<お話を聞いた人>

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ラインズ株式会社 文教グループ 教材開発チーム チームリーダー 加藤浩二さん(右)
ラインズ株式会社 文教グループ グループリーダー代行 坪内真理子さん(左)
※撮影時のみマスクを外していただいています。


1.オンライン教材はココがスゴイ!子どもの学びを促すオンラインならではのギミック

―ラインズ様の学習支援サービス「ラインズeライブラリアドバンス」とは、どのようなものですか?

加藤さん:学習指導要領はもちろん、主要な各社の教科書に対応したデジタル教材をメインに、子どもたちの主体的な学びや、先生方の授業づくりを支援するための多彩な機能備えた学習サービスです。
教材は、小学校1年生から中学校3年生までの9学年分が揃っています。

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坪内さん:最も効果的な授業や学びの目的を叶えるため、教科書や他の副教材と組み合わせながら様々な場面でご活用いただいています。

加藤さん:教科書と同様、国の学習指導要領を指針にしながら、私たちの目指す学習を両立できるコンテンツ作りを意識しています。

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―オンラインでの学びということで、どのような特徴がありますか?

加藤さん:「ラインズeライブラリアドバンス」は、クラウド配信型のサービスで、ブラウザで使用することがメインですが、事前にダウンロードしておいてオフラインで使うこともできます。5教科に実技教科を加えた11教科を網羅しています。中心となるのはAI型のドリルで、このドリルで学習した履歴はサーバーに蓄積されていくんですよ。

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坪内さん:ドリルの点数や学習時間の確認はもちろん、どの教科のどの範囲が苦手なのかなども分析でき、そのデータは先生や生徒自身が確認できます。生徒が自分自身の取り組み状況を知ることで、強制されたものを機械的にやるというのではなく、自分自身で気付くとか、その気付いた結果をもってこれからどう進めたいかを考えることをサポートしていきたいと考えています。

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加藤さん:その想いは弊社が最も重視しているところですね。

坪内さん:もちろん、軸となるのは学校の授業にあるので、まずは先生がこの教材を使って確認テストを実施する、その結果を受けて生徒は苦手分野を集中的に勉強したり、得意分野はもうちょっと高度な問題にチャレンジしたり、一歩進むことができる。先生から課題を出すこともあれば、自分で自由に学ぶこともできるといった、2方向から学びにアプローチするイメージです。

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―データ分析がすぐできるのも、確かにオンラインの魅力ですよね!

坪内さん:そうですね。紙だと大量に目で見てまとめるっていう作業になるので、とても大変ですもんね。

加藤さん:採点もスピーディーなので、正解・不正解がすぐに分かります。その結果を受けてオススメのドリルを紹介するなど、その反応の速さもオンラインならでは。集中力を切らさずにテンポ良く学習を進められますよね。

―生徒だけではなく、先生にもメリットがたくさんありそうです。

坪内さん:先生のメリットは業務効率の改善と、一人ひとりに合った丁寧な指導ができることですね。

加藤さん:「ラインズeライブラリアアドバンス」にはオプションでプリントも用意されていますし、子どもの理解度や取り組み状況から課題を出題したり、学習の様子が気になる子どもへメッセージを送ったりすることもできるんです。このような機能を活用することで、先生のより良い授業づくりに役立ててもらえるのではないかと考えています。

―さらに家庭では、子どもたちが自分で学びを進められると。

坪内さん:はい。ご家庭でも学校と同じ教材を使って学習することができます。学校での学習の続きをご家庭で取り組むことはもちろん、好きな教科・好きなテーマを選んで学習することができるので、苦手な分野も関心のあるところも主体的に学習することができます。

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加藤さん:場合によっては前の学年に戻って復習をしたり、次の学年の予習をしたり、自由度がとても高いんです。

坪内さん:保護者にとっても、学校と同じ教材を自宅学習で使えることは、安心感を持っていただけるのではないでしょうか。学習履歴の確認をするだけではなくて、ドリルをちょっと覗いてみたり、声をかけたり、お子さんと一緒に学びに関わる機会が増えるとうれしいですね。

加藤さん:また、付帯サービスとして学校から保護者のスマホやPCに一斉メールを送る連絡メールも備えています。「お子さんに今日はこのお便りを預けています」と報告するなど、いろいろな使い方をしていただいているようですね。

坪内さん:私もそうですけど、仕事を終えて家に帰ってからプリントで連絡事項を確認すると「もっと早く知っておけば…」と思うこともあるんですよね(笑)。職場で学校からの連絡事項が確認できるのはとっても便利なんです!

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―さまざまな選択肢がある家庭学習用のオンラインサービスの中で、ラインズ様の強みを教えてください!

加藤さん:ラインズは、前身を含めて創業以来ずっと「教育×ネットワーク」に携わってきました。それこそ、インターネットよりも前のパソコン通信の時代から…(笑)。オンライン学習教材としての実績や伝統はもちろん、そのノウハウは強みだと考えています。

坪内さん:教材とデバイスは準備したけど、そこからどうしていいか分からないというケースなど、学校での導入実態も数多く見てきています。教材を活用いただくために必要な事前フォローや研修会なども行っているんです。また、家庭のネット環境格差が学習に影響が出ないよう、オンライン・オフラインを問わず使えるようにしたのもポイントですね。

加藤さん:学校や家庭でのニーズや課題を把握し、インターネットを使って子どもたちが楽しく学習できるコンテンツ作りや、生徒みんなで一緒に学習できる仕組みなどを創業からずっとやってきましたが、これらがすべて独自の強みに繋がっています。

2.UDデジタル教科書体の登場でWebフォント化を決断

―ここまで教材の魅力をたくさん教えていただきましたが、オンラインならではの悩みというのもあるのでしょうか?

加藤さん:以前は、インターネットで表示されるフォントは見る側のブラウザによって変わってしまっていましたよね。そうすると教材の文字が見え辛くなることも多かったですし、教育的観点でも止め・はね・はらいの表現が正しく伝わらないという悩みがありました。

坪内さん: Webフォントを使えば解決するとは考えていましたが、以前はネットワーク環境が脆弱な学校も多く、クラスの数十人が一度に利用すると速度に問題が出てしまうのではないかという懸念があったんです。

加藤さん:その解決策を模索しているうちに、モリサワさんからUDデジタル教科書体が発表されました。ちょうどネットワークの高速化も進んできていたので、「この書体をWebフォントで活用すれば万事解決だ!」と社内の意見は一致。2017年の教育総合展(EDIX)を訪れ、「UDデジタル教科書体」のパンフレットをもらったことを覚えています。

―「UDデジタル教科書体」のどこに魅力を感じましたか?

加藤さん:「ラインズeライブラリアドバンス」は教科書と一緒に使っていただく教材なので、教科書のフォントに近い方が違和感なく学ぶことができますよね。

坪内さん:加えて、教育的に正しい漢字であること。止め・はね・はらいの形状や画数、書き順なども正しく学習指導要領に基づいています。各教科の担当者は「やっと教科書のフォントで教材が表現できるんだ!」と、とても喜んでいました(笑)。

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加藤さん:もう一つ、これからの時代に欠かせない合理的配慮として、ユニバーサルデザインを取り入れているのも大きな要素でしたね。まず「UDデジタル教科書体を使いたい」となって、「使うとなったらWebフォントだよね」とトントン拍子に話が進み、モリサワさんに相談させていただいたんです。

3.TypeSquare導入で分かった、見え方だけじゃない多くの利点

―そしてモリサワから紹介させていただいたのが、WebフォントサービスのTypeSquareですよね。

加藤さん:そうですね。ただ、UDデジタル教科書体の登場後すぐには、まだTypeSquareに追加されていなくて(笑)。使用できるようになるのを待って、導入を進めました。

―Webフォントへの移行は難しかったですか?

加藤さん:移行自体はまとめて対応できましたし、反映も早いですし、問題はありませんでした。しかし、新旧フォントのサイズが異なるので、表示がズレてしまうトラブルがあったんです。例えば、穴埋め形式の文章問題で解答欄から文字がはみ出してしまったり。

坪内さん:どのように解決するか悩ましい面もあったのですが、文字の見やすい環境を早く届けることを優先して、対応していきました。

加藤さん:ドリルは全部で5万7千問くらいありますので、すべて対応するために苦労はありましたね。

坪内さん:現在提供している教材は、アクセシビリティ向上のため字間やフォントサイズも自由に変えられるようにシステムを改修しました。解答欄調整なども自動で行えるようにしたので、今後は安心です!

―それは大変でしたね…!では「UDデジタル教科書体」に置き換わった画面の第一印象はいかがでしたか?

加藤さん:やはり格段に読みやすくなりましたね。これが本当に同じ教材なのかと(笑)。

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坪内さん:「教科書で見ていた文字だ!」っていう(笑)。文章は同じなのに、こんなに違うんだと感動しました。

―TypeSquare のWebフォント活用の一番のメリットは何でしたか?

加藤さん:見え方はもちろんですが、UDデジタル教科書体を含め、選べるフォントがたくさんあるのはいいですよね。細部までフォントを調整できたので、表現の幅が大きく広がりました。

坪内さん:確かにそこは大きいですね。教科によってこだわるポイントがあって、ココはちょっと太字にしたい、斜体にしたいなど、意図に合わせてフォント変更ができて、デバイスに関係なく表現できるのは、Webフォントだからこそ実現できたことですね。

加藤さん:確かに。システムフォントだと、崩れてほしくないところは画像化するしかなかったですからね。

坪内さん:画像だとデバイスによっては大きすぎたり小さすぎたりしますし、1文字修正するだけでも大変です。

―学習指導要領の変更などにあわせて、教科書も変更があると聞きました。

加藤さん:そうなんです。毎回変更点のチェックをして、修正や作り直しを行っています。Webフォントの導入で、これまで画像化していたものをテキストに置き換えた例もたくさんあり、おかげでメンテナンス性は向上しています。

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4.多様に変化する学習環境と、変わらない信念

―GIGAスクール構想※や新型コロナウイルスの感染拡大で、子どもたちの学ぶ環境には大きな変化がありました。ラインズ様にとっても転換期になりましたか?

坪内さん:生徒一人に1台のデバイスが配られ、学校と家庭の学びが同じ環境下でできるようになりました。学校での活用も、以前は人数や場所に制限があることも多かったのですが、ネットワーク環境整備によってそれこそ体育館や校庭でも使うことができるようになったりして、その活用機会はとても広がりました。

加藤さん:いつでも、どこでも、自分のペースで使える環境が整ったからこそ、「ラインズeライブラリアドバンス」もこれまで以上に継続的に使っていただきやすくなりました。子どもが学びの気づきを得たり、学ぶことのきっかけになるケースが増えていくと嬉しいですね。

※「GIGAスクール構想」:2019年12月に文部科学省が提唱。1人1台端末環境、高速大容量の通信ネットワークを整備し、子どもたち一人ひとりに個別最適化され、創造性を育む教育ICT環境の実現を目指す。

―この環境の変化で、コンテンツも変化していくものですか?

加藤さん:コンテンツの拡充や仕組みを見直すなど、より一層学習しやすくなるための改善は進めていきたいと思います。

坪内さん:2020年度に小学校英語を追加し、2021年度には読解力スキルを高めるコンテンツを増やしました。「社会の中で自ら課題を発見し解決していく力」など、変化の激しい時代を生き抜くためにも、子どもに身につけてほしい力を常に意識したコンテンツ制作が必要なんです。

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加藤さん:これまでもそうですし、おそらく、これからもずっと。

―今回のような学習環境の変化というより、時代の変化というわけですね。

加藤さん:そうなんです。弊社としては「子どもに自主的・主体的に学習できるようになってほしい」という大きな願いがあって、環境が変わってもその軸は変わりません。その願いが実現しやすくなっている今、さらに追求していくだけなんです。

坪内さん:個別最適化や個性化といったニーズに応えながら、子どもたちの「学びに向かう力」をサポートしたいし、学ぶことの楽しさを実感できる、自らが主人公となって未来を生き抜く力をつけていけるようなコンテンツをもっと提供していきたいですね!

―子どもたちへの学びや教育現場でWebフォントの貢献を実感し、私たちにとっても大変うれしいお話でした。ありがとうございました!


書体:ぺんぱる
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