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簡体字・繁体字フォント大幅拡充!台湾のフォントメーカーArphic Typesのご紹介

2024年度、Morisawa Fontsに中国語フォントが大幅拡充されます。今回はその制作元である台湾を代表するフォントメーカーArphic Typesアーフィックタイプスのご紹介です。


Arphic Typesの書体

きっと多くの人が無意識にどこかで目にしているArphic Typesの書体。そのライブラリには、400書体以上の繁体字フォント、300書体以上の簡体字フォントのほか、和文、ハングル、欧文や多言語も含まれています。
2024年10月15日より、Morisawa Fontsで繁体字・簡体字合わせて30ファミリー102書体が使えるようになります。

Arphic Typesの代表書体

Arphic Typesライブラリで最初に知ってほしい、豊富なウエイト展開と文字セットを持つフラッグシップ書体を3つご紹介します。

  • AR UDJingXiHeiアーフィック ユーディージンシーヘイ(⽂⿍UD晶熙黑體)

「AR UDJingXiHei」は、ユニバーサルデザインの思想に基づいてデザインされた、モダンなエレメントを持つ簡潔なスタイルのゴシック体です。⼤きめの字⾯とふところは視線を横⽅向に誘導するデザインとなっており、横組の⽂章に最適です。
「UDJingXiHei」は2013年に「GOOD DESIGN AWARD 2013」デザイン賞を受賞しており、現在110以上の国と地域の文字表示に対応しています。(Morisawa Fontsでは簡体字・繁体字を提供)

  • AR ShuYuanSongアーフィック スーユェンソン(⽂⿍書苑宋)

「AR ShuYuanSong」は、伝統的な明朝体をベースに設計された、柔らかさと力強さを併せ持つ書体です。カリグラフィーの要素、活字に由来する彫刻刀の跡、写植特有の墨だまりを兼ね備え、丸みと鋭さを帯びた表情が特徴です。これまでの和文の明朝体にはない、オリジナリティのあるうろこの処理が特徴的です。

  • AR FangXinShuアーフィック ファンシンスー(⽂⿍⽅新書)

ゴシック体をベースに、明朝体特有のコントラストを合わせた上品で穏やかなイメージの「AR FangXinShu」。モリサワの和文書体では「フォーク」に近いスタイルです。シンプルな設計で、見出し利用での視認性や本文組での読みやすさが追求されています。

「翠流」シリーズのベースとなったデザイン書体

2022年からMorisawa Fontsでご提供している「翠流」シリーズはArphic Typesと共同開発した和文フォントです。和文フォントと繁体字フォントでは多くの漢字が共通していることから、Arphic Typesの繁体字書体の漢字に、モリサワで開発したかなをはじめとする非漢字を組み合わせて作成しました。2024年度の新書体として、「翠流くゆりペン」が仲間入りします。

今年の新書体リリースで簡体字・繁体字もMorisawa Fontsで使えるようになり、日本語・中国語を同じシリーズの書体で言語展開できるようになります。

Arphic Typesの成り立ち

これらの書体を作っているArphic Typesとはどんなメーカーなのか、これからみなさんに親しみをもってフォントを使っていただけるよう、これまでの企業のあゆみを簡単にご紹介します。

Arphic Typesは30年以上の歴史を持つ会社で、1990年の設立当時はコンピューターが普及してきた時代であり、欧米圏の製品を中国語対応させる会社の同僚として働いていた仲間によって立ち上げられました。「グローバルに展開する企業にしたい」という想いからフォントという商材を選んでビジネスが始まりました。

その事業は国境を越え、2000年代にはワープロソフトに書体が採用されたことで日本でもArphic Typesの書体が一気に普及しました。高い品質が求められた日本での経験はその後の市場開拓にもつながっていき、国際的に信頼される企業へと成長しました。
そして、モリサワグループの一員となった現在、書体開発において連携を深めています。

台湾のデザイントレンドとおすすめ書体

Arphic Typesの最新の書体見本帳からグラフィック作例をご紹介します。ぜひ、簡体字・繁体字フォントを使ったデザインのインスピレーションのきっかけとなれば嬉しいです。

台湾を訪れたことがある人なら分かる、台湾の魅力的な看板文字! 歴史を感じさせる書体を使いながら、ネオンのような白抜きや欧文を併記することで、現代風な解釈が感じられます。「酒樓」や「牛肉湯」に使われている「AR QianZiBi(文鼎簽字筆體)」はサインペンのようなアウトラインですが筆の流れを感じさせる骨格で、筆書体とも相性抜群です。

デザイン書体をメインに使った、さまざまなバリエーションのパッケージやお店のロゴのモックアップです。幾何学的なエレメントで構成された右上の「白玉茶铺」のロゴの「AR Mochi」(文鼎白玉書體)は、モリサワの和文書体「翠流きら星」のベースとなった書体で、日本語から中国語へのローカライズの際に同じスタイルの書体で言語展開が可能です。

日本の伝統的なモチーフである “招き猫” を大胆なタイポグラフィであしらったこちらの作品には、新旧を問わずさまざまな時代性の書体が使われています。江戸文字の「AR KanTingLiu」(文鼎勘亭流)をベースにした絵文字フォント「AR ZanMei」(文鼎簪梅體)の「好」の文字と、幾何学的でモダンなスタイルの「AR XinYi」(文鼎新藝體)の「招き」が対照的なスタイルながらポップな雰囲気でまとまっています。


Morisawa Fontsに新しく仲間入りするArphic Typesの簡体字・繁体字フォント、少しでも身近に感じていただけましたでしょうか?
近年、日本語以外の言語で情報発信をする機会はますます多くなっていますので、Morisawa Fontsのライブラリに高品質な簡体字・繁体字フォントがたくさんあるということを覚えておいてもらえたら嬉しいです!

簡体字・繁体字組版についての基礎知識や組版ルールは、多言語組版ルールブックの中でご紹介しています。

その他のMorisawa Fontsの2024年度新書体についてもぜひチェックしてくださいね。


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