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Illustrator 2025 テキストエンジンが刷新! 文字組み更新の注意点

2024年10月にリリースされたIllustrator 2025(v.29.0)において、「テキストエンジンの刷新」がありました。
文字組みの品質を向上させるためにテキストエンジンが改良されていますが、その反面、旧バージョンのデータを開く際には十分な注意が必要となります。


旧バージョンデータの開き方

v.27.7~28.xの場合:変更された箇所を比較しながら確認

v.27.7~28.xで保存されたデータをv.29.0で開いた場合、以下のダイアログが表示されます。

【更新】…ファイル内のすべてのテキストオブジェクトが更新されます。
【変更を確認】(推奨)…新旧の文字位置情報を比較できます。
【キャンセル】…ファイルを開くのを中止します。
※「再表示しない」にチェックを入れると、以後に開くデータはすべて自動的に更新状態で開きます

「変更を確認」を選んだ場合、「文字組み更新」パネルを利用して新旧の文字位置を比較することができます。

変更箇所を十分に確認した上で、「選択項目を更新」または「すべて更新」のボタンから文字組みを更新します。
また更新ボタンを押さない場合でも、該当部分のテキスト編集を行うと自動的に文字組みが更新されます。

ver.27.6以下の場合:変更箇所の比較ができず、すべて更新される

ver.27.6以下で保存されたデータをv.29.0で開いた場合、以下のダイアログが表示されます。
新旧の文字位置情報を比較することはできず、「OK」を押すことで文字組みが更新されます。

便利ツール:文字組み保存プラグイン

このように、新旧の文字組みを比較したい場合は、事前にVer.27.7~28.xでファイルを保存しておく必要があります。
ただ、ひとつひとつファイルを更新するのは現実的ではないため、一括更新をするための「文字組み保存プラグイン」が準備されています。

リンク先には関連記事や確認用のサンプルaiファイルもありますので、ぜひチェックしてください。

Illustratorのドキュメント互換バージョンに注意

現在の最新バージョンであるIllustrator 2025でデータを保存すると、保存バージョンの形式は「Illustrator 2020」で保存されます。
Illustrator 2020(v.24)以降ではドキュメントの互換バージョンが変わっていないため互換性があるように見えますが、新機能などは意図した編集ができなかったり、見た目が変わってしまう場合があります。

Illustrator 互換性ガイドブック2025(https://blog.adobe.com/jp/publish/2024/10/29/cc-design-print2025)より抜粋

今回リリースされたIllustrator 2025(v.29)ではテキストエンジンが刷新されているため、下位バージョンでやりとりすると思わぬトラブルが発生する可能性があります。
必ず保存されたバージョンを確認し、原則同じバージョンで開くよう注意してください。

保存バージョンの確認には、Adobe Bridgeが有効です。
「メタデータパネル」で保存したバージョンを確認できますので、事前にチェックしておきましょう。

しかし、中長期で作成を行うような場合、各バージョンの保持を行うのが難しい場合があります。
Adobe Creative Cloudの個⼈版およびグループ版では、最新バージョンとその1つ前のバージョンまでインストーラーが提供されていますが、過去に遡ってインストールバージョンを選択することができません。
※Illustratorの場合、現在はv.29.0が最新バージョンのため、インストールができるのはv29.xとv28.xとなり、v27.x以下はインストールができません。

その際は、Adobe Creative Cloudグループ版のAdmin Consoleにある「パッケージ機能」を利用することで、各バージョンのインストーラーを作成しておくことが可能です。
業務上どうしてもバージョンの維持が必要な場合は、この機会に運用バージョンのインストーラーを作成して保管しておくのがおすすめです。

参考リンク:Admin Console の活用 - パッケージを管理する

パッケージされた各バージョンの動作環境OSは、各バージョンのリリース時情報に基づきます。それ以外のOSでは正常動作しない場合があるのでご注意ください。

文字組みの更新の他、Illustratorの互換性に関するより詳細な情報は、Adobe Blog内で公開されている「Illustrator 互換性ガイドブック 2025」をご参照ください。


モリサワはAdobe正規代理店のプラチナリセラーとして、グループ版Creative CloudをはじめとするVIPライセンスを取り扱っています。
移行や導入のご相談も承っていますので、お気軽にお問い合わせください。