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フォント沼なハナシ

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フォントの特徴から開発秘話までご紹介する記事をまとめています
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2020年10月の記事一覧

筆のまにまに。言葉によって形が変わるフォント「みちくさ」

今回は「みちくさ」という書体についてご紹介したいと思います。 「みちくさ」は、フォントに内包されている “ある機能” を活用することで、言葉や文章に合わせて自動的に形が変化するユニークな書体です。 1. 「みちくさ」とはまずはデザインのお話から。 「みちくさ」は2017年にリリースした明朝体風のデザイン書体です。 高い重心に、ふところを絞った骨格と、やわらかく現代的なエレメントが特徴的です。 ふところ、重心 「ふところ」は、縦画と横画が構成している内側の空間のことを指し

2つの表情を持つ書体「解ミン」「小琴」 〜かなが生み出すニュアンスの魔法〜

今回は「解ミン 宙・解ミン 月」と「小琴 京かな・小琴 遊かな」という、同じ漢字やアルファベットを持ちながら、ひらがなとカタカナだけが違う書体について、デザインの特徴から制作秘話まで紹介します。 1. 書体の分類とかな書体を分類するには色々な方法があります。 例えば、赤のアリスの記事で紹介したような、 “デザイン” によってジャンル分けすることもあれば、フォントの情報(例えば “文字セット” など)で分けることもあります。 そんな書体の分類方法のひとつに、和文書体(総合書