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え?こんなデザインも使えるの?! ジャンル別にわかる、モリサワ新書体2022【和文編】
新書体……この言葉を聞いてワクワクする方もそうでない方も、ぜひ最後までスクロールしていただきたい!!というのも今年はなんと、目で見て楽しいデザイン書体をはじめとする超充実のラインナップでお届けするんです。
この記事では、各書体の特徴と魅力を全力でお伝えしていきたいと思います。時間がない方は “目次” から気になる書体をクリックしてみてくださいね。
今回は【和文編】ということで、和文の新規書体をご紹介します。
通常和文を分類する際は ”明朝体” や “ゴシック体” といったカテゴリで分けますが、今回はグラフィカルな “デザイン書体” が多いため、より印象が掴みやすいように独自のジャンルで分けてみました。それがこちら!
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大胆なデザインが多い「インパクト」、あどけなさや遊び心を感じさせるゆるっとした「ゆるポップ」、レトロ可愛い雰囲気を纏った「ロマン」、筆や活字の雰囲気を残したクラシカルな印象の「オールド」です。
それぞれのジャンルごとに、各書体の特徴と合わせて解説していきますので、ぜひ自分の “推しフォント” を見つけてみてください。
1. 大胆な「インパクト」を与えるならこんな書体
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ゲームやコミックなど、コンテンツの世界観を演出するシーンなどで活躍しそうなパワフルな迫力がある書体たち。画像からもなんだか強烈な個性が伝わってきます。
イカヅチ
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「イカヅチ」は、肉筆感のある大胆なデザインが特徴の書体です。太く張りのあるエレメントに掠れのような装飾を施すことで、見る人に強いインパクトを与えます。大声で何かを伝えるようなシーンや目立たせたい箇所をより一層引き立てることができ、コミックやテレビテロップなど、大きなサイズで使っていただくと映えます!
くろまめ
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「くろまめ」は、広くデザインしたふところと、“ループ” を強調したかなが特徴の明るい雰囲気を持つ書体です。書体名を検討する際も、なるべくループが見せられるような名前で検討していました。
ループがある文字以外ももちろん魅力的ですし(例えば「も」の伸びやかさもいいですよね)、全体的に少し傾いていることによる手書きの勢いなどにも注目いただきたいです。
翠流アトラス(R/M/B)
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ジャンル別画像の中でも四角さが際立っているのが「翠流アトラス」です。ストレートな骨格と大きな字面に対して、一部の漢字のエレメントやかなの四隅に角丸を取り入れることで、硬くなりすぎない印象になっています。ハライがくねっと曲がっているところなんかは、愛らしさすら覚えました(個人の感想です笑)。
ラピスエッジ/ラピスメルト(L/M/B)
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直線のみで構成されたシンプルな設計の「ラピスエッジ」。このラピスエッジの角に丸みを持たせ、かなを自然な骨格にアレンジしたのが「ラピスメルト」です。どちらもウエイトごとに字幅が異なるのが特徴です。
一部の文字では個性的な字形を採用しており、特に「糸」のデザインなんて面白いと思いませんか? 遺跡に掘られた文字みたいですよね…!
これまでも「G2サンセリフ」や「ぶらっしゅ」のように字面が大きくてインパクトのある書体はありましたが、これらの書体が加わることでより幅広い表現が可能になります。
ラピスエッジ/ラピスメルトや翠流アトラスはウエイト展開も豊富なので、ぜひ利用シーンに合った太さを選んでみてください。
2. 遊び心は「ゆるポップ」 な書体たちにお任せあれ
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続いて、どこか “ゆるっ” とポップな印象の書体たち。やや字面が小さめで、遊び心のあるデザインが多くなっています。
ココン
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「ココン」は低い重心とやや下にすぼまるプロポーションを持つ、レトロであどけない雰囲気の書体です。横画の両端についたセリフが特徴で、手書き由来の温かさや親しみやすさの中に、エレガントさをプラスしました。
実はこの書体、リリース前にテレビ出演したことがありまして、ようやく皆さまにお届けできるのが楽しみです!
タカ風太
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手書きそのままの味わいを残し、自由な印象を与えるのが「タカ風太」。文字のバランスや線の表情を整えすぎないように設計されており、伸び伸びとした親しみやすさを感じさせます。
個々は自由なデザインなのに、文章を打つとまとまって見えるのがフォントのすごいところ…。
ちさき
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「ちさき」は書き文字や金属活字の要素を取り入れた、古風で可愛らしい明朝体風のデザイン書体です。 平体気味のプロポーションに、漢字の筆おさえやかなの筆脈といった筆のニュアンスとデフォルメされたエレメントを組み合わせることで、レトロな可愛さを演出します。
オールド系の明朝体とも相性がいいので、このあとご紹介するオールド書体で組んだ文章に「ちさき」をポイント使いする!なんてこともオススメですよ。
ぽってり(L/R/M/B)
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「ぽってり」は、筆ペンで書いた文字をイメージしたゆる可愛い雰囲気の書体です。重心が低くアンバランスな骨格、短く直線的なストロークが、あどけなさや素朴さを演出します。ウエイトが太くなるにつれてコントラストが際立ち、かなり表情が変わるのもポイントです。
続いて、書体名に「プフ」とつくものがあり、これを私たちは「プフ」シリーズと呼んでいます。
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統一しすぎない自由な字形と小さめの字面が特徴のデザイン書体ラインナップで、今年は4書体リリース予定です。なんとこのプフシリーズ、書体ごとに “オリジナルキャラクター絵文字” を1文字搭載しており、異体字として選択入力できるんです!
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上のプフシリーズ画像のどこかにも隠れているので見つけてみてください!
前置きはここまでとして、それぞれのデザインについて順番にご紹介していきたいと思います。
プフ ホリデー
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今回リリースするプフシリーズの中で一番ウエイトが細いのが「プフ ホリデー」です。ペンで手書きしたような明るく親しみやすいデザインで、抑揚のない、しなやかな曲線で構成されています。少し長めの文章なども組むことが可能です。オリジナル絵文字は少し眠そうな “やぎさん” 。
プフ ポッケ
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「プフ ポッケ」は、ゴシック体風のデザインながら角の折り返しにカーブ(制作チーム内では“なで肩”と呼んでいました)を取り入れており、力の入りすぎない可愛らしさを表現することができます。オリジナル絵文字はキュートな “どんぐり” !
プフ マーチ
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丸ゴシック体風のデザインとやや幾何学的なプロポーションが特徴の「プフ マーチ」は、プフシリーズの中では字面がやや大きく整頓されたイメージを持ちます。もちもちとした線質で、やわらかい印象の書体です。オリジナル絵文字は驚いたような口がおちゃめな “きのこ” 。
プフ ピクニック
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「プフ ピクニック」は、手書きの骨格をもつ太いゴシック体風のデザインです。あえて文字の大きさを揃えすぎないことで、ほどよいゆるさを残しています。はつらつとした明るい雰囲気を演出するのが得意な書体です。オリジナル絵文字は、ピクニックに是非とも連れていきたい “おにぎり” です。
“ゆるポップ” に分類した書体は実は、社内のデザイン公募から選ばれた書体が多く、独自のファミリー構成やデザイン設計をしています。デザインに力の抜けた雰囲気をプラスしたいような場面で、書体選びの幅が広がること間違いなしです!
3. レトロ可愛いは「ロマン」な書体で作れちゃう
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続いて、個性的な装飾を取り入れたレトロかわいい書体をまとめて「ロマン」と名付けました。
オズ
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装飾性が高く、ブラックレター風の雰囲気を持つのが「オズ」。直線的な骨格でありながらも折り返しの角は丸く設計しており、硬くなりすぎないユニークなデザインになっています。
白のアリス
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「白のアリス」は、平筆由来の西洋風ストロークとクリアで柔らかなエレメントをもつ「赤のアリス」にラインを入れ、さらに装飾性を高めた書体です。視覚的にシャドウのような効果があり、そのまま打ち出すだけでロゴのように決まってくれます。
「オズ」と「白のアリス」は元々 “かな書体” でしたが、漢字を加えた総合書体としてリリースされます。
かなの雰囲気を漢字に反映するにあたっては、かなのデザインを分解して要素を抜き出して制作していました(これが結構大変なんです)。かなと漢字のマッチングにもぜひご注目ください。
翠流ネオロマン/翠流デコロマン
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続いて、「翠流ネオロマン」と「翠流デコロマン」はやや低めの重心をもつスクエアな骨格の漢字を共通とした、ハイコントラストな書体です。
起筆・収筆にうろこのような装飾を施した「翠流ネオロマン」はすっきりとした可愛らしさのあるデザインです。
「翠流デコロマン」は「翠流ネオロマン」の “かなと記号類” に装飾を施しており、くるんとしたカールや濁点のキラキラがより華やかな印象を与えます。
どこかレトロな雰囲気もあり、こんな文字でメニューが書いてある喫茶店に行ってみたくなっちゃいますね〜。
各書体、画像の中では世界観強めなワードチョイスをしていますが、こんな文章も合う!という予想外の使われ方を見てみたいラインナップでもあります(「赤のアリス」の “うなぎ” のような……詳しくはこちらをご覧ください笑)。
是非いろいろなシーンで使ってみてください!
4. 「オールド」書体を使いこなして機微を演出
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筆や活字の雰囲気を残したクラシカルな印象の書体も充実!
本文組みができる書体から見出しに使えるような太めの書体まで、幅広い用途をカバーするラインナップです。
霞青藍(L/R/M/B)
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「霞青藍」は、楷書体の要素を色濃く残すローコントラストなオールドスタイルの明朝体です。横画やハライの伸びやかさを強調したふところの締まった骨格の漢字に、1940〜60年代の活字にインスパイアされたかなを合わせました。欧文は15世紀末の活字の骨格をベースにしています。
全体的に無骨さを感じるデザインになっていて、キザな文章などが似合いそうですよね。横画が少し太めのため視認性も高い書体です。
霞白藤(L/R/M/B)
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「霞白藤」は、筆書きのスピード感を活かした流麗でハイコントラストなオールドスタイルの明朝体です。かなは築地5号系および36ポ仮名をベースに、欧文は16世紀のフランスやオランダ活字の骨格をベースにしつつも、細部のエレメントをシンプルにすることで現代的な印象に仕上げています。
「霞青藍」「霞白藤」は漢字の “骨格” は共通していますが、ハライやハネの先端に武骨な印象がある青藍に対して、白藤はスッと抜けるようなエレガントな処理になっています。また、漢字・かな・欧文それぞれ、活字を再解釈してデザインしたものを組み合わせていまして、詳細については追々noteの記事で深掘りしていきたいと思います。お楽しみに!
白妙/白妙 オールド(L/M)
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「白妙」「白妙 オールド」は手書き文字の優しい印象をもつデザイン書体で、“かな” が異なります。
手書き感を残した軽やかな印象のかなを合わせたのが「白妙」。文字のプロポーションや大きさの差をあえて残すことで、文章を組んだ際にリズミカルな表情が生まれます。
一方、活字の要素を取り入れたかなを合わせたのが「白妙 オールド」です。筆の運びを残した柔らかな印象のかなは、レトロであたたかみのある表現をする際にぴったりです。
どちらもLとMのウエイト展開で、シーンに応じて太さが変えられるのも嬉しいところですね。
秀英にじみ四号太かな
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「秀英にじみ四号太かな」は、秀英にじみシリーズの新書体。かな書体の「秀英四号太かな」をベースに “にじみ” を再現した書体で、「秀英にじみ初号明朝」の漢字を合わせています。太い筆で書かれたような力強いうねりのあるデザインは、強調したい場面などで使うとバッチリ決まる書体です。
この書体については、フォントの日特別企画として以前noteでも取り上げており、本記事と同じ筆者が担当しました。あとがきに愛を込めた渾身の記事ですので、ぜひ最後まで読んでいただきたい……!
文游明朝シリーズ(字游工房)
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また、今年も字游工房から3書体リリースされます。
江戸時代の刊本にインスパイアされた、小粋な雰囲気漂うかなを持つ「文游明朝体 古雅かな」。詩を組むことを想定して制作された、小ぶりで端正なデザインのかなを持つ「 文游明朝体S 朝靄かな」。連綿するかなを横に書いたらどうなるのか、という実験的な発想をもとに制作された横組専用の本文用書体「文游明朝体S 水面かな」をリリース予定です。
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2021年にリリースされた「文游明朝体」の他のかな違い書体と合わせると、全部で8書体のラインナップとなりました。それぞれの繊細な表情の違いに注目しつつ、使い分けていただければと思います。
5. あとがき
note編集部メンバー兼2022年書体PRの担当をしています、Mです。
あとがきゾーンということで、新書体への思いをひとつ。
2022年は書体を大幅にアップデートすることになり、PR担当に配属されたのが2021年の春(遠い目)。今年のこの大量の書体の魅力をどうやって伝えるといいのか悩んだ末、先行公開をして早くからデザインに触れてもらうなどの試みをしたのが半年前のこと。
全部の書体が好きだし、知ってもらいたい……。でもまずは、色々なデザインをなんとなくでも覚えてもらい、フォント選びの際に思い出していただきたい!ということで、各書体をジャンルごとに分けてご紹介するにいたりました。
もちろんこれだけが正解ではないので、用途別など自分なりのマイリストを作っていただけたら嬉しいです。
今後も新書体の【欧文編】のご紹介や、その他関連記事の更新、特設サイトの公開など色々と準備を進めています。書体のリリースまであと少し、待っていてくださいね。
ちなみにnoteの機能である「シェア」「マガジン追加」の際に出てくる画像に2022年書体が使われているので、ぜひ押してみてください。
「いいね」やコメントもお待ちしています!(担当:M)
※記事内に掲載した書体は開発中のため、デザインが変更になる場合がございます。ご了承ください。